目的と手段を取り違える

私たちが人との関わりの中に楽しさを見出す人生は、充実した素晴らしいものとなり得るでしょう。

しかし、お金を稼ぐことを人生の目的にしてしまうと、いつまでたっても真の充実感は得られません。

苦しみが増えていきます。

このことについて、パラマハンサ・ヨガナンダ師は以下のように述べています。

 

目的と手段を取り違える

(パラマハン・サヨガナンダ著 「宗教の科学」より一部抜粋)

 

ある目的のためにお金を稼ぐ際に、お金自体を目的にしてしまうと、物事が狂い始めます。
なぜなら、手段が目的になってしまい、本来の目的を見失ってしまうからです。

こうしてわれわれは再び苦しみ始めるのです。

この世界では、誰もが果たさなくてはならない義務を持っています。

ここで便宜上、先ほどの例をもう一度取り上げてみましょう。

家庭をもっている人は家族を養うためにお金を稼がなくてはなりません。

その人は何か仕事を始め、仕事を軌道にのせるために細かいことに気を使うようになります。さて、それからどうなるでしょうか?

仕事は順調に行き、たぶん自分自身や家族の必要を満たすよりも遥かに多くのお金がたまることでしょう。

すると次の二つのうちのどちらかが起こります。

お金をためること自体が目的となり、お金をためることに特別の喜びを感じるようになるか、または仕事をすること自体が趣味となり、まずまず仕事をやり続けて仕事が増えていくようになります。

どちらの場合も、最初に起こった不足感の解消(そもそもの目的)のための「手段」が、いつのまにか「目的」そのものになってしまったのです。つまりお金や仕事が目的となってしまったのです。

または次のようなことも起こり得ます。

不必要な新しい不足感をつくりだし、その不足感を「物」で満足させようと一生懸命になるのです。

いずれにしてもわれわれの主たる関心事は、至福から離れていってしまいます(われわれは生まれつき「至福」を「喜び」だと思い込んでおり「喜び」を目的にしてしまうのです)。

そうなると仕事を始めた当初の目的は、様々な条件や手段が生まれて増えていくと、最重要でなくなってしまうのです。

様々な条件や手段が生まれて増えていくことの根底には、これらを求める欲望――ある条件下で喜びが生まれたときの、過去に感じた興奮状態、またそのときの心象――があります。

当然この欲望は、そのときの条件 たそうとします。

満たされると喜びが生じ、満たされないと苦しみが生じます。

すでに述べたように、喜びというものは欲望から生じ、一時的な物に関係しているので、一時的な物がなくなってしまうと、心の動揺や苦しみが生まれます。
こうしてわれわれの苦しみが始まるのです。

簡単に言えば、物質的な不足感を解消しようとするのが当初の仕事の目的でしたが、この目的から目を転じて手段にー仕事そのもの、または仕事によって生じる利益を蓄えることーあるいは新しい不足感をつくり出すことに、集中してしまうのです。

こういったことに喜びを見いだすようになってしまったので、われわれは、喜びによって常に間接的に生じる苦しみへと押し流されてしまうのです。

お金を稼ぐときの例は、この世のすべての行為においても当てはまります。

われわれが本来の目的―至福の運成、または最終的に至福へと導いてくれる状態や条件、生活様式の達成―を忘れて、至福を得るための条件や手段だと誤って思い込んでしまった対象物に唯一の関心を向け、対象物を目的にしてしまうと、必然的にわれわれの不足感、欲望、興奮が増大し、悲しみや苦しみへと至る道を歩み始めるのです。
われわれは、本来の目的を決して忘れるべきではありません。

自分の欲望の周りには、防護壁を張りめぐらせておくべきです。

欲望を次から次へと増やし続けていけば、最後には苦しみがもたらされるので、欲望を増やすべきではありません。

だからといって、この世で生きていく上で必要な欲求を満たすべきでないという意味ではありません。

また、人類の進歩のために自分がなすべき重要な役制を無視し、怠け者の空想家や理想主義者になるべきだという意味でもありません。

要約すると、苦しみは欲望から生まれ、また間接的には喜びが原因となって生まれます。

喜びとは、不足感の泥沼に人を誘い込み、永遠の不幸におとしいれる鬼火のようなものなのです。

このように、すべての苦しみの原因は欲望であり、欲望は「真実の自己」を心や体と同一視してしまったことから生じているのが分かります。

われわれにとって必要なことは、この同一視をやめることによって執着を断つことです。

執着と同一視という束縛さえ断ち切れば良いのです。

神という偉大な舞台監督に任命された役者として、われわれはこの世という舞台における自分の役を、心と知性と体力の限りを尽くして演じなければなりませんが、舞台の上に立つ役者のように、心が、喜びや苦しみの感情に左右されたり影響を受けたりしないようにすべきです。

 

 

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