ひき続き、ヨーガスートラに書かれている内容の一部を、その解説と共にご紹介します。
以下、「カルマ」について記された個所とその解説を「パタンジャリとシッダのクリヤ―ヨーガスートラ」から抜粋します。
我々の心と潜在意識に嫌悪が存在する限り、カルマは生まれ続けるとことが記されます。
第2章13
根が存在する限り、結果も存在する。(すなわち)生と経験である。
心に引き付ける力と嫌悪が残っている限り、残っているカルマを清算するために魂は誕生を繰り返します。
もしも食欲が強すぎるのであれば、カルマによって豚に生まれるかもしれません。
豚の体での経験を通して魂は進化し続けるでしょう。様々な楽しみを体験したり、苦痛を避けたがるのは、身体や感覚ではなく、苦悩の種とカルマに動かされる心なのです。
ひとつの生での寿命と経験の種類は、カルマの貯蔵庫(にどんなカルマが残っているか)によって決まります。
いくつかのカルマが焼き尽くされると、魂は残っているものを発現しようとします。
人生が新たな局面を迎える時(たとえば転職しようとして非常に困難な状況が訪れる時)これが起きていると我々は気づくでしょう。解脱とはカルマとサンスカーラ(※)から自由になることです。
劇の中であなたが演じているひとつの役の終わりを迎えるかもしれませんが、解脱とは物理的な人生の終わりではありません。
新たな役を演じることになるかもしれませんが、ひとつの役を演じているにすぎないということを完全に理解しており、これによって無条件の愛と真理でその役を演じる自由が与えられるのです。
※サンスカーラ・・・我々の怒りや悲しみは、潜在意識に印象として記憶される。この潜在印象のことをサンスカーラと言う。潜在印象が人の行動を決めてしまうといわれる。
さらにカルマについての記述が続きます。
ここでは因果応報について記されます。
良いカルマをつくり、後々の自分が喜びを得るためにできることについての教えが述べられています。
第2章14
人の道に適(かな)った行いから生じるカルマとそうではないカルマのために、好ましい状況と苦痛に満ちた状況が存在する。
他人に幸せをもたらすと、我々は喜びを手にします。
しかし、他人に苦痛をもたらせば、その苦痛の報いを自分自身も受けることになります。
本当の幸福を手にすることを選択すると、周りの人たちは初めはそのことに気づいていないかもしれませんが、我々は自動的に彼らのことも幸せにします。
我々の行動の大部分は、自分の習慣、言い換えれば潜在意識にある印象(サンスカーラ)によって決定されます。
素性、寿命、人生で待つ経験は、潜在意識にある印象(サンスカーラ)によって決定されます。
ですから、我々は、自分自身と他人を高めるような思考と言葉と行動を養わなければならないのです。
参考文献
・パタンジャリとシッダのクリヤヨーガスートラ