自己を知る
我々は楽しいことを経験すると、幸せを感じます。
反対に求めている物や経験が手に入らないと、落胆したり不満や不安を感じます。
生きている間、この幸せと落胆の間をつねに行ったり来たりして、まるで振り子のように自らの感情に左右されます。
数秒前までは幸福を感じていたのに、何かしらの出来事がきっかけで突然不幸を味わうなどということが起こります。
どんな時も安定した精神状態を保ち、喜びに満ちた日々を送る方法はあるのでしょうか。
それは自己を知ることで可能となるといわれています。
ヨーガ・スートラ第2章第3節において、苦痛をもたらす5つの原因が述べられています。
それは「無知、エゴイズム、愛着、反感、生への執着」です。
これらに妨害されて、自己とは何かを知ることができず、至福の状態に至ることができません。
苦しみの原因「無知、エゴイズム、愛着、反感、生への執着」の無知とは、自分が本当は何者かを知らないこと、つまり真の自己と、自己だと錯覚している肉体やマインドとを混同することです。
エゴイズムとは、本来の自分ではないもの、肉体やマインドを自分だと思い込む習慣のことです。
愛着とは喜びに対する執着であり、反感(嫌悪)とは苦しみに対する執着です。
苦痛をもたらす5つの原因を克服するには、無執着と識別が必要です。
参考文献:「クリヤーヨーガ:道を照らす光」、「パタンジャリとシッダのヨーガスートラ」
◎クリヤーヨーガ:道を照らす光
「なぜババジのクリヤー・ヨーガの実践は必要なのか。
待ち受ける試練やその解決法は。
鍵は真の自己の知識とエゴの明け渡しにある。
だが実行にはしばしば助けが必要だ。
行法の実践者、未経験者の区別なく、すべての人を後押しする洞察あふれる書。」
◎パタンジャリとシッダのヨーガスートラ
「本書は、パタンジャリのヨーガスートラの他に類を見ない解説書となっている。各節の解説に加え、南インドの聖典ティルマンティラム(ティルムーラル著)とヨーガスートラを比較し、多くの類似点を示し、さらにはババジ・ナーガラージ(パラマハンサ・ヨガナンダ著『あるヨギの自叙伝』で有名)が現代に復興したクリヤーヨーガの技法との関連も示している。クリヤーヨーガの技法の意義を教えてくれる、あるいは再確認させてくれる本書は、クリヤーヨーガ実践者には必携の書である」