ヴェーダにおいては、人生のすべての予定は「プラーラブダ・カルマ」(過去生からもたらされた今生で消費すべきカルマ)によって完全に定められてるとされます。
人生で起きる様々な出来事は、自分の過去生における行為や、その大元にあった想いの結果であると考えられているのです。
カルマの支配力は強く自分の好き嫌いに関わらず、生まれた家庭、職場、友人・知人、社会、国などと関係し続けなければなりません。
カルマによってもたらされる出来事を、大空を飛行する鷹(たか)のように俯瞰しながら生きるためには、智慧を身につけ真の自己を悟る必要があります。
真の自己に目覚めていれば、人生で起きるすべての出来事に対して目撃者の立場でいることができ、物事をありのまま受けとめる力が生まれます。
そしてあらゆる否定的な感情を手放すことができるのです。
生きている意味は明確になります。
ヴェーダの智慧を学ぶ機会は得難いものですが、誰でもヴェーダの叡智に触れることができる読み物があります。
インドの叙事詩「マハーバーラタ」です。
ヴェーダは四種ありますが、マハーバーラタは第五のヴェーダとして敬われています。
「マハーバーラタにないものは世界のどこにも存在しない」と云われるほど、何千もの独立した物語が含まれており、有名な「バガヴァッド・ギーター」もこのマハーバーラタに含まれます。
インドの人々は、母国を英語で表すときは「インディア」と呼びますが、ヒンディー語で「バーラト」と呼んでいます。
バーラトは、「バーラタヴァルシャ」の略称であり、これは古代サンスクリット語で「バラタ族の国土」を意味します。
バラタは古代インドで有名な帝王であり、この王の子孫はバラタ族と呼ばれました。
バラタ族のバラタは「知識に従事し続ける事」を意味します。
マハ―バーラタは、領土にまつわる親族間の戦いの物語です。
参考文献
・インド思想入門 ヴェーダとウパニシャッド/前田専學/春秋社
・インドの聖典 ムニンドラ・パンダ/(有)アートインターナショナル