パワーか、フォースか あなたの人生、プラス? マイナス? 意識エネルギーを数値化するキネシオロジーテスト

もし、人生のあらゆる選択の場面で、「正しい選択」が瞬時にわかったらどうでしょう? この株に投資するべきか、この人との関係を進めるべきか、今の生活を続けるべきか…。もし、すべてが明確に判断できるとしたら、私たちの人生はどれほど変わり、迷いや後悔はどれほど減るでしょうか。
実は、そのような判断を助ける画期的な概念と測定方法を提示した書籍があります。それが、精神科医で意識研究家のデヴィッド・R・ホーキンズ博士による名著『パワーか、フォースか』(原題:Power vs. Force)です。この本は、人間の意識やあらゆる物事が持つエネルギーを「意識レベル」として数値化し、その測定を可能にしたことで世界的に評価されています。今回は、この書籍のエッセンスを元に、意識レベルとは何か、そしてそれが私たちの人生にどう活かせるのかを深く掘り下げていきます。
意識レベルとは何か? 心と現実を結ぶ見えないスケール
ホーキンズ博士が提唱する「意識レベル」とは、人や場所、出来事、思考、感情など、万物が持つスピリチュアルなエネルギーや精神性の度合いを、1から1000までの数値で表したスケールです。これは、単なる心理状態の分類ではなく、それが持つエネルギーの質(ポジティブかネガティブか)を示すものです。レベル1は愛が欠乏した破壊的な状態、レベル1000は愛に満ちた創造的な状態と言えます。
筋肉が真実を知っている? キネシオロジーテストの驚くべき仕組み
この意識レベルを測定するために用いられるのが、「キネシオロジーテスト」、別名「筋肉反射テスト」です。人間の筋肉は、自分にとってプラスとなるもの、生命エネルギーを高めるものに対しては強く反応し、マイナスとなるもの、生命エネルギーを低下させるものに対しては弱く反応するという性質があります。
例えば、不安や恐れを感じることを考えると、筋肉の力は一時的に弱まります。反対に、喜びや感謝を感じると、筋肉は強く反応します。体に良い自然食品を手にすると筋肉は強まり、人工甘味料のような不自然な添加物を含む食品を手にすると弱まる、といった具合です。
ホーキンズ博士は、この筋肉の反応の強弱を利用して、特定の思考や感情、あるいは概念が、対象者の生命エネルギーにどのような影響を与えるかを測定できることを発見しました。そして、このテストを通じて、様々な意識状態や概念が持つエネルギーレベルを1から1000のスケールで数値化することに成功したのです。
これにより、これまで漠然としていた精神状態の「良し悪し」や、ある行動がもたらすエネルギー的な影響が可視化され、共通言語として捉えることができるようになりました。「この思考はどのくらいポジティブな影響を与えるのか?」「あの感情はどのくらいエネルギーを低下させるのか?」といったことが、数値で比較できるようになったのです。例えば、「恥」を感じている状態と「恐怖」に襲われている状態では、どちらがよりエネルギーが低いのか? 意識レベルで見ると、「恥」はレベル20と、最もエネルギーが低い状態であることが明らかになっています。
キネシオロジーテストは、二人いればわずか数分でできる簡単なテストです。これにより、冒頭で投げかけたような「この株に投資すべきか?」「この人との関係はどうか?」といった、本来なら不確実で迷いやすい選択についても、それが自分や周囲の生命エネルギーにどう影響するかを判断するヒントが得られるのです。
目に見えない世界の状態を表す共通言語、それが意識レベルです。
エネルギーの決定的な分かれ道 レベル200「パワー」と「フォース」の境界線
意識レベルを理解する上で最も重要なポイントは、レベル200のラインです。この200という数値が、エネルギーの状態が「フォース」(破壊的でネガティブなエネルギー)に属するか、「パワー」(創造的でポジティブなエネルギー)に属するかの決定的な分岐点となります。
意識レベルが200未満の状態は、ネガティブなエネルギー領域です。このレベルにある個人や社会は、エネルギー状態が低く、自己中心的で、争いや奪い合いといった破壊的な方向に向かう傾向が強まります。歴史的に見ても、戦国時代や世界大戦といった混乱期は、人類全体の平均的な意識レベルが200を下回っていたと言われています。
一方、意識レベルが200以上の状態は、ポジティブなエネルギー領域です。このレベルにある個人や社会は、エネルギー状態が高く、より良くなろうとする勇気や意欲に満ちており、創造的で繁栄に向かっていきます。
日常的な感覚で言えば、自分がハッピーで満たされており、周囲にも良い影響を与えていると感じられる時、あなたの意識レベルは概ね200を超えています。逆に、誰かを批判したり、不安になったり、イライラしたりする瞬間、あなたの意識レベルは200を下回る可能性が高いのです。
なぜレベル200以上を保つべきなのか? あなたが「パワースポット」になるために
このレベル200以上の状態をいかに維持できるかが、あなたの人生の質、そして社会への貢献度を大きく左右します。レベル200未満の状態にあると、たとえ周りのために何か良いことをしているつもりでも、本人の内側から放たれるエネルギーがネガティブであるため、周囲にもマイナスの影響を与えてしまいます。しかし、一度200以上のレベルに達すれば、あなたは特別な努力をしなくても、生きているだけで周囲の人々や社会にポジティブなエネルギーを与え、文字通りの「パワースポット」のような存在になることができるのです。
戦争や貧困といった世界の抱える問題も、もし人類全体の意識レベルが200を超えれば自然と解消されていくと言われています。だからこそ、まずは私たち一人ひとりが自分の意識レベルを200以上に保つ努力をすることが、最も根源的な自己成長であり、同時に社会貢献なのです。
フォースの罠・人生を停滞させるレベル200未満の意識状態
ここからは、具体的にレベル200未満のネガティブな意識状態にはどのようなものがあるのか、レベルの低い順に見ていきましょう。キネシオロジーテストでは、これらの状態にあるとき筋肉は弱く反応し、生命エネルギーが低下していることを示します。
最も低いエネルギー ・恥、罪悪感、無感動、悲しみ、恐怖
最もエネルギーが低いレベルは20の恥です。これは生命エネルギーが極度に低下した状態であり、自己否定や自殺願望とも関連が深いです。次いで30の罪悪感、50の無感動(絶望や諦め、虚無感)、75の悲しみ(喪失感や後悔)、100の恐怖(不安や心配、怯え)が続きます。これらの感情に囚われていると、私たちは行動する活力を失い、困難から逃げたり、自己改善を諦めたりしがちです。
誤解されがちな欲望とプライドの落とし穴
レベル200未満には、さらに125の欲望、150の怒り、そして175のプライドがあります。これらは一見、エネルギーが高いように見えることもありますが、その根源がネガティブなため、レベル200未満にとどまります。
欲望(レベル125)・富や名声、権力などを強く求める状態ですが、これがレベル200未満にとどまるのは、その根源が欠乏感や外部からの承認欲求にあるためです。内面が満たされておらず、他者との比較や競争から生まれる欲望は、エネルギーを消耗させ、決して持続的な幸福にはつながりません。ただし、自分の内面がハッピーで、他者の幸福も考えながら建設的に何かを目指す意欲であれば、それはレベル200を超え、むしろポジティブなエネルギーとなります。大切なのは、欲望そのものではなく、それがどのような内面の状態から生まれているかなのです。
プライド(レベル175)・一般的に「誇りを持つ」ことは良いこととされますが、ホーキンズ博士の定義するプライドは、優越感や自己顕示欲に根ざしたものです。これは外部からの評価に依存しやすく、傷つきやすいため、常に他者と自分を区別し、争いを招く原因となります。愛国心や宗教原理主義など、プライドが暴走して多くの犠牲を生んできた歴史的事実を見れば明らかでしょう。プライドの裏側には傲慢さや、自分の欠点や間違いを認められない「否認」があります。この否認こそが、自己成長を妨げ、レベルアップできない最大の壁となるのです。プライドはエゴが肥大化した状態であり、真の自己成長のためには手放すべきものと言えます。
レベル200未満の状態にいると、私たちは常に何かに怯えたり、不足を感じたり、他人と比較したり、コントロールしようとしたりします。そこには、真の自由や幸福はありません。これらのレベルに囚われていると、キネシオロジーテストで示されるように、生命エネルギーが低下し、周りにもネガティブな影響を広げてしまいます。
パワーの領域・人生を創造するレベル200以上の意識状態
ここからは、レベル200以上の「パワー」の領域に入ります。このレベルに到達すると、私たちの人生は大きく変わり、ポジティブなスパイラルが始まります。このレベルでは、キネシオロジーテストで筋肉が強く反応し、生命エネルギーが高まっていることを示します。
レベル200・勇気 ・ 変化への扉を開く力
レベル200を超えた最初の状態です。ネガティブな状態から脱し、人生に対して前向きで、困難にも立ち向かおうとするエネルギーが湧いてきます。変化を恐れず、探求心や決断力が生まれるため、物事を達成しやすくなります。人生が面白く、挑戦的で刺激的なものに感じられるようになります。このレベルに達すると、200未満の人が持たない、自己改善や困難な状況を打開しようとする「意欲」が生まれます。また、このレベルから周囲にも良い影響を与え始め、ポジティブな相互作用が生まれます。非常に生産的な生き方ができるようになり、「プラスのスパイラルが始まります」。
レベル250・中立 ・内なる自信と柔軟な視点
勇気のレベルよりもさらにエネルギーが高く、柔軟性に富んだ状態です。レベル200未満では物事を白黒つけたり、二極化して捉えたりしがちですが、このレベルに達すると、対立や分裂ではなく、中立的な視点を持てるようになります。物事を俯瞰して見られるため、公正な判断ができ、結果にあまりこだわらなくなります。今の仕事がピンチになっても「じゃあ別の仕事を探そう」と冷静に考えられるように。思い通りにならないことへの恐れやイライラをほとんど経験しなくなります。この状態の大きな特徴は、内なる自信が生まれることです。収入や社会的地位といった外部要因ではなく、自分自身の内面に自信の根拠を持つため、財産を失ったり、職を失ったりしても動じません。自分の中にある知識や考え方は決して失われないことを知っているからです。中立の人は感情の乱れが少なく、他人の自由も自分の自由も大切にするため、誰とでも良好な関係を築くことができます。批判的な態度や他人をコントロールしようとすることがなく、一緒にいると相手も良い自分になれるような安心感を与えます。
レベル310・意欲 ・ 限りない成長と他者への好意
人生に対して常に前向きで、急速な成長が始まるレベルです。閉鎖的な傾向がなくなり、誰にでも好意を持って接するため、社会的・経済的な成功の可能性が高まります。このレベルの人は自尊心が高いですが、プライドとは異なり、自分の欠点をよく知っており、それを隠すことなく公言できます。また、他者から学ぶ謙虚さを常に持っています。常に優秀な生徒のような姿勢でいられるのです。周りから求められることによって成長が加速していく段階です。
レベル350・受容 ・「世界は自分の主観」というスピリチュアルな目覚め
ここから、よりスピリチュアルなレベルに入ります。このレベルの最大の特徴は、「世界は自分の主観である」「人生はすべて自分が創造している」という自己責任の原則を深く理解し、実践できるようになることです。これは、理屈では理解できても、腹の底から納得して生きられる人は少ない領域です。スピリチュアルな法則や引き寄せの法則などを単なる知識としてではなく、体験として理解し、実践しているレベルと言えます。受容のレベルにある人は、人生をあるがままに受け入れ、いちいち余計な判断をしません。正しいか間違っているかではなく、問題の解決策に焦点を当てます。また、物事を二極化せず、自分と違う立場の人のことも理解し、思いやりを持って接します。社会的な対立や分断も、解決プロセスの一段階として必要なものと捉え、どちらかの極が必要でないと考えることはありません。分断されたものも、すべて一つのもの(ワンネス)として捉える視点が芽生え始めるのです。この気づきは、あなたの生命エネルギーを大きく飛躍させ、人生に偉大なパワーをもたらします。
レベル500:愛 – 無条件で他者を生かす真のエネルギー
一般的に語られる愛とは全く異なる、無条件で普遍的なスピリチュアルな愛のレベルです。一般的な愛は、所有欲やコントロール欲が絡み、条件付きで変わりやすく、憎しみに一変することもあります。しかし、レベル500の愛は、その源泉が自己の内面にあるため、外部の状況に左右されず、永続的で穏やかです。この愛は、相手を束縛したりコントロールしたりせず、相手の自由や自立を尊重し、その人が自分らしく生きられるようサポートします。これにより、相手の意識レベルを大きく引き上げることができます。これは、「あげまん」「アゲチン」と呼ばれるような、関わる人の運気を上げる存在と関連が深いでしょう。愛の状態にある人は、恐れではなく愛を動機として行動します。分断ではなく常に結合のエネルギーを放ち、どんな境界も設けず、他者と一つになるワンネス意識が強まります。批判や攻撃といったネガティブなエネルギーとは無縁の世界です。愛は特定の場所や立場に限定されず、グローバルに広がる性質を持ちます。
レベル540・喜び ・すべてに神聖さを見出す至福の状態
愛がさらに深まり、内側から常に喜びが溢れている状態です。何か良いことがあったからハッピーなのではなく、あらゆる瞬間、あらゆる存在の中に神聖さを見出すことができます。ゴキブリを見ても、苦手な人を見ても、そのすべてに神を感じるような世界観です。このレベルに達すると、他者の意識レベルを強烈に引き上げるヒーラーのような影響力を持つことがあります。長時間相手の目を見つめるだけで、その人を愛と平和の意識に導くことができると言われます。また、人生で起こるすべての出来事が完璧なタイミングで進んでいる(シンクロニシティ)と感じられ、すべてが調和している完璧な世界だと理解します。良いことも悪いこともなくなり、世界とそのすべてが愛と神聖さの表現であることがわかります。臨死体験を経験した人が、意識レベルが大きく変容してこのレベルに近づくこともあります。
レベル700〜1000・悟り – 究極のワンネスと解脱
意識レベルの最高峰であり、解脱やワンネスの究極の状態です。自己(エゴ)が完全に消滅し、二元性がなくなり、すべてと一体となった世界観です。もはや個人的な運命に関心はなく、自己という概念を超越しています。歴史上の偉大な聖者や覚者(ガンジー、マザーテレサはレベル700、クリシュナ、ブッダ、イエス・キリストはレベル1000)がこのレベルに到達したと言われています。
まずはここから始めよう – 意識レベル200を目指す実践法
悟りやワンネスといったレベルは、私たち一般人にとっては遥かに高いハードルかもしれません。しかし、『パワーか、フォースか』が教えてくれる最も現実的で重要なメッセージは、まずは意識レベル200以上を目指し、それを維持することの大切さです。
レベル200以上の状態を保つことができれば、あなたの人生は少しずつ、確実に良い方向に進み始めます。そして、前述の通り、あなたは生きているだけで周囲や社会にポジティブな影響を与える存在になれます。何か特別なボランティアなどをせずとも、生きているだけで社会貢献になるのです。
では、どうすればレベル200以上を維持できるのでしょうか。最も効果的な方法は、ネガティブな状態を徹底的に手放す努力をすることです。誰かを批判したり、不安に囚われたり、不満を感じたりする瞬間、あなたの意識レベルは200を下回ります。キネシオロジーテストが示すように、否定的な思考や感情は、あなたの生命エネルギーそのものを弱めてしまうのです。
だからこそ、自分の思考や感情に意識を向け、ネガティブな反応をしていないかを常にチェックすることが重要です。自分と違う意見の動画を見ても、嫌なことがあっても、人に拒絶されても、できるだけポジティブな側面を見つけ、肯定的な反応を心がけましょう。少しでも多くの時間をレベル200以上の「ポジティブゾーン」で過ごすことが、あなたの意識レベルを高め、維持するための一歩となります。
あなたの意識が世界を変える – まとめと次なる一歩
この「意識レベル」の概念を理解し、実践することは、私たちの人生をより豊かにし、迷いを減らす強力なツールとなります。あらゆる出来事に対して、それが自分にとって、そして周囲にとってプラスになるかマイナスになるかを正確に判断できるようになるからです。そして、この知識を広めていくことで、批判や争いの少ない、平和で楽しい世界を共に創造していくことにも繋がるでしょう。
『パワーか、フォースか』は、ここでご紹介した内容はほんの一部にすぎません。意識レベルを上げることの具体的な方法論や、さらに深い洞察が満載の素晴らしい一冊です。ぜひ手に取って、あなたの人生と世界をポジティブに変えるヒントを見つけてみてください。
学びを止めず、常に前向きなエネルギーを保ち、より良い未来を創造していきましょう。


