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四諦・八正道(したい・はっしょうどう)
「一切皆苦(いっさいかいく)」とお釈迦さまは説きました。
人生は思い通りにいかないものであり、この世のすべては苦しみであると。
この言葉を聞くと、人生には苦もあれば楽もあるし、あるいは人生は案外楽しいものだという感想を持つ方もいるでしょう。
しかし「この世のすべては苦しみである」とお釈迦さまは断言します。
お釈迦様が苦であると説いているのは、生じたすべてのものは滅する運命にあることです。
愛する人は年月を経て老衰し、また栄華を極め誇っていたものがその勢いを失くし、やがて塵となって消えていく。
この世に生まれたどんな事も、あらゆる生命も必ず滅すること。
これは誰であっても逃れることができない苦しみです。
お釈迦様が説いた教えは、祈れば救われるというものではありません。
自分自身で智慧を得て、それによって自分が救われるというものであり、自分を救済するのは、誰でもない自分自身であるという教えです。
さらに、お釈迦さまはこの世の苦しみから逃れる方法について説いており、お釈迦様の本来の教えは、原初の仏教に残されています。
お釈迦様が説かれた「一切の苦しみから逃れる方法」についてご紹介します。
お釈迦様の御生涯
お釈迦(しゃか)さまは、インドで多くの部族国家が分立していた時代に、インド北部ヒマラヤ山麓を治めていた釈迦(しゃか)族の王と王妃の間に、王子としてお生まれになり、シッダールタ(願いが満たされた者)と名付けられました。
姓がゴータマであったので、お釈迦様の歴史的な名前は、ゴータマ・シッダールタです。
また釈迦族出身の尊者という意味で、後に釈尊とも呼ばれ、真理を悟った人という意味で仏陀(目覚めた人、覚醒した人)とも呼ばれています。
物静かで思索を追求するシッダールタは、外界から隔離された生活を送りました。
一般の生活習慣や民衆の知識に接しないように育てられました。
しかし護衛をつけずに城外に出た時、病気や老いる事、死の現実が存在する事実に直面しました。
そして29歳の時、妻と息子を置いて出家します。
長く険しい修行を行い、さらに深い内観によって苦悩の原因をつきとめ、これを解決する道を完成したのです。
苦は、自分の外側に存在するのではなく、自分の心の在り方が誤っているところから生じるものだと突き止め、心の中にある様々な迷いや苦しみから解放されました。
「人はみな悟りへと至る可能性をもっているのに、心の愚かさのために苦しんでいる。
智慧を得て心眼を開けば、苦しみから解放される。」
このように35歳にして悟りを開かれたシッダールタは仏陀(覚醒した者)となられます。
天上界に住む梵天(古代インドの神ブラフマー神)の「世の人々のために真理を説いてほしい」という要請をお釈迦さまは受けいれ、人々に真理を説くことを決心されました。
お釈迦さまはまず初めに、6年に及ぶ苦行を共にした5人の修行者に対して説法することに決めます。
説法を賜った5人は相次いで悟りを得て、ここに仏教が成立しました。
この説法の中に、中道の教えがあり、苦の原因とその解決の方法を示した「四諦・八正道」が含まれています。
次にこのお釈迦様の最初の教え、「四諦・八正道」をご紹介します。