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因果
お釈迦様が説いた「一切の苦しみから逃れる方法」をご紹介する前に、その基盤となる考え方について説明します。
それは因果、カルマの法則と呼ばれるものです。
善い行いをした結果、めぐりめぐって「楽」がやってきて、
非道徳的な行いをした結果、めぐりめぐって「苦」の報いがやってきます。
苦しみから逃れるためには、その原因をつくらなければ良いとお釈迦さまは説きます。
「善い(正しい)ことを行い、悪しき事を行わず、己の心を浄めましょう」と。
一切の苦しみから解脱できる「四諦・八正道」
四諦(したい)とは、苦諦、集諦、滅諦、道諦の四つの真理です。
苦諦(くたい)/生きることは苦であるという真理。
集諦(じったい)/苦の原因は自らの欲望、執着心であるという真理。
滅諦(めったい)/欲望、執着心を滅して解放されれば、悟りの境地に達することができるという真理。
道諦(どうたい)/悟りの境地に至る方法が八正道であるという真理。
四諦・八正道は、まず、この四つの真理を理解することから始まります。
そして次の八正道(はっしょうどう)を実践すると、苦しみから解脱できるという教えです。
八正道は智慧の道であり、理想の境地に至るための正しい道となります。
正見(しょうけん)、正思惟(しょうしゆい)、正語(しょうご)、正業(しょうぎょう)、正命(しょうみょう)、正精進(しょうしょうじん)、正定(しょうじょう)。
正見とは、正しい見解。自己中心的な物の見方を手放し、偏見に捉われず、正しく物事を見ること。
正思惟とは、正しい思考。
正しく物事を見て、それに基づいて思考する。浮かんでくる思いを慈悲の心に沿ったものに整える。
正語とは、正しい言葉。
正しく物事を見て、言葉を発する。嘘や悪口を発さずに、慈悲の心に沿った思いやりの言葉を発する。
正業とは、正しい行い。
正しく物事を見て、行動する。慈悲の心に従った行動、あらゆる生命を傷つけない行動を取る。
正命とは、正しい生活。
正しく物事を見て、それに基づいて生活する。日々の生活を、慈悲にあふれた思い、言葉、行動で満たす。それが正しい生活であり、充実した人生につながる。
正精進とは、正しい努力。
これからは自己中心的な行動を行わず、慈悲に基づいた心で行動することを増やす。
正定とは、精神を統一して心を安定させること。
静かな平安の中に自分の意識を向ける。
この八つはつながっていて、
正見⇒正思惟⇒正語⇒正業⇒正命⇒正精進⇒正定という順番で進みます。
そして最終的に、正智慧が生じ、苦しみから逃れ解脱に達するのが、四諦・八正道。
四つの真理を理解し、八つの道を実践することで、一切の苦しみから解脱できると説かれたのです。
お釈迦さまは、「あらゆる道の中でこの八正道が最も優れている。幸せに至る道は、この八正道しかない」と断言しています。