ハンナ・アーレントの研究に寄せて キング牧師とマハトマ・ガンディの名言

市民的不服従とは

非暴力を訴えたキング牧師が影響を受けた人物の一人が、作家ヘンリー・デイビッド・ソローでした。

「ソローの悪しき制度との協力を拒否せよという考えに魅せられ、心から感動した」と後に述べています。

 

アメリカ人作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、”市民的不服従”の実践と理論の草分けの存在でした。

ソローは、個人の倫理観と責任の重要性を強調し、たとえ法であっても、良心と相いれないのなら、その方を破るべきだと主張しました。

また「人間を不正に投獄する政府のもとでは、正しい人間が住むのにふさわしい場所もまた牢獄である」とし、「少数派が全力をあげて妨害し」「すべての正しい人間を獄中に閉じ込めておくか、それとも戦争及び奴隷制度を放棄するかの二者択一を」政府に迫るべきだと論じました。

ソロー自身、マサチューセッツ州が課したわずかな人頭税の不払いを続け、1846年7月に一晩だけ投獄されたのです。

世界の抵抗運動リーダーに影響を与えた市民的不服従

1894年に書かれた論文「市民的不服従」は、世界の抵抗運動指導者に多大な影響を与えました。

アフリカやアジアの旧植民地で宗主国からの独立を求めるナショナリズム運動が高まりを見せた時に、主要戦術として用いられました。

最も有名なのはマハトマ・ガンディーの戦術です。

ガンジーは次のように述べています。

「市民的不服従は、市民が市民であろうとする市民の本来的権利である。これには規律、思想、責任、留意、犠牲が必要である。」

ガンディーはソローの「市民的不服従」から学び、非暴力抵抗運動の思想を形成したのです。

ガンディはソローの考えをさらに一歩進めました。

イギリスの植民地だったインドにおいて、イギリスの不正な法に従わないだけでなく、ストライキやボイコットやデモ行進を組織して、積極的に逮捕・投獄されるような状況をつくりだし、世間の関心がそこに集まるようにしました。

さらに獄中で暴行を受けても、逃亡したり、殴り返したりせず、敵を愛するように人々に訴えました。

ガンディは、愛と真実がこの世でもっとも強力な武器であると信じて疑いませんでした。

こうして銃を使うことなく、非暴力によってインドの独立が達成されたのです。

ガンディの「愛の力」運動

若いころガンディはロンドンで法律を学び、南アフリカでインドの会社に勤めました。

ここで屈辱的な人種差別を経験し、南アフリカのインド人社会を巻き込んだ抗議運動を進めることになりました。

 

【南アフリカ時代のガンディ 1895年】

この運動のなかから生まれたのが、サチャ(サティア)グラハという非暴力の抵抗運動でした。

サチャ(サティア)とは真理であって、愛と同じであり、グラハは力です。

真理の力、あるいは愛の力という意味です。

インドの独立とならぶ、ガンディのもう一つの功績は、カースト制度の最下層におかれている不可触選民を「ハリジャン」(神の子)と呼び、その地位改善に尽力したことです。

みずからハリジャンの女の子を養女としました。

さらにインドにおける少数派であるヒンズー教徒とイスラム教徒を含むその他の少数派との結束にも努力しました。

キング牧師の非暴力運動の核となった『愛の力』

ガンディの非暴力運動は、かなり早い時期からアメリカ黒人運動の活動家に知られていました。

黒人運動活動家がインドを訪れ、質問を受けたガンディは、「非暴力が黒人解放の運動として適切である」と答えるとともに、「アメリカ黒人によってこそ、その優れた内容を世界中に伝えることができるだろう」と述べました。

キング牧師もこの愛の力がアメリカで利用できるか疑問に思っていましたが、神学校の学長がインドでの平和主義者会議に参加して帰国したさいの講演を聞き、疑問が氷解し、本格的な研究を始めます。

さらに理解を深めるにつれて、社会改革の領域での”愛の力”を認めるようになります。

ガンディを読む前には、私はイエスの倫理は個人的な関係のなかでしか有効でないという結論に達していた。

「いまひとつの頬をむけよ」といい、「汝の敵を愛せよ」という哲学は、個人が他の個人と対立におちいるときだけしか有効でない、と私は感じていた。人権や民族がたがいに対立におちいるときは、もっと現実的な方法が必要なように思われたのだ。

だが、こうした考えがすっかり間違っている事に気が付いた。

ガンディは、おそらくイエスの愛の倫理を、個人と個人のたんなる交互作用を超えて、大規模な、強力で有効な社会的な力にまでひきあげた、歴史上最初の人物だったろう。

(以上、「キング牧師とマルコムX」著 上坂 昇 講談社現代新書 から引用しています。)

 

ガンディの名言集

キング牧師の非暴力運動に大きな影響を与えたガンディの名言をご紹介します。

 

There is no path to peace. Peace is the path.

平和への道があるのではありません。平和こそが道であります。

 

 

 

A man is the product of his thoughts.

What he tinks , he becomes.

人間はその人の思考の産物にほかなりません。

人はその人が思う通りになるのです。

 

 

 

It is health that is real wealth and not  pieces of gold and silver.

真の富とは健康のことです。金や銀ではありません。

 

 

 

The weak can never forgive.

Forgiveness is the attribute of the strong.

弱い者ほど相手を許すことができません。

許すという行為は、強い者ができることなのです。

 

 

 

Anger and intolerance are the enemies of correct understanding.

怒りと不寛容は正しい理解を妨げます。

 

 

 

A coward is incapable of exhibiting love.

It is prerogative of the brave.

臆病者は愛に基づいて行動することができません。

それは勇敢な者の特権であるのです。

 

 

 

Happiness is when what you think, what you say, what you do are in harmony.

幸せとは、あなたが考えていること、あなたが口にすること、そしてあなたの行動、すべてが調和している状態を指します。

 

 

 

Satisfaction lies in the effort , not in the attainment ,  full effort is full victory.

満足感は尽力することによって得られます。

目的を達成することによってではありません。

最大限尽力することこそが、最高の勝利となるのです。

 

 

 

The future depends on what we do in the present.

未来は、私たちが今、何を為すかにかかっているのです。

 

 

 

In a gentle way, you can shake the world.

穏やかに、そっと世界を揺り動かすことは可能なのです。

 

 

 

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