ハンナ・アーレントの研究  なぜヘイトは起きるのか?

独裁者の料理人(How to Feed a Dictator)

 

先日ワシントンポストに、独裁者の料理人を訪ねて取材したポーランド人ジャーナリスト、ヴィトルド・スザブロフスキの随想集「How to Feed a Dictator」についての記事がありました。

スザブロフスキは、かつて独裁者と呼ばれた世界の暴君たちのために、料理を日々つくっていた料理人たちを探しだして話を聞き、1冊の本にまとめました。

その独裁者とは、イラクのサダム・フセイン、キューバのフィデル・カストロ、カンボジアのポル・ポト、アルバニアの独裁者エンヴェル・ホッジャ、アフリカでもっとも血にまみれた大統領と言われたイディ・アミンなどです。

料理人の目を通して私たちが垣間見ることができるのは、悪名高き独裁者たちがタバスコソースで悪ふざけをしたり、オムレツがしょっぱすぎると文句を言ったりする姿だ。

健康に気を使ったり、子供の頃に食べた味をしみじみと懐かしんだり、妻を避けたりする暴君たちの姿である。

そうした料理人たちの一部にとっては、彼らの主君は欠点はあるものの、ごく普通の人間にしか見えないのである。

「How to Feed a Dictator」

冷酷無比と悪名高い独裁者も、身近な人にとっては普通の人間であったという記事を読んで、ある有名な裁判が思い出されました。

1961年、イスラエルで行われたアドルフ・アイヒマンの裁判です。

悪の凡庸さ

アドルフ・アイヒマンは、かつてナチス親衛隊の中佐であり、ユダヤ人を強制収容所や絶滅収容所に移送し、管理する部門を取り仕切っていました。

数百万人のユダヤ人を死に至らしめたアドルフ・アイヒマン。

エルサレムで行われたその裁判を傍聴したユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントは、裁判のレポート(エルサレムのアイヒマン)に「悪の凡庸さ」と名付けたのでした。

お抱えの料理人から見た独裁者たちの素顔は普通の人間だとあったのと同様に、こちらのアドルフ・アイヒマンも実に平凡な人間だったというのがアーレントの見解でした。

どこにでもいる普通の人間が人類最大とも呼べる巨悪をなせるということ。

これは現代でも条件が整えば起こりうる出来事なのだということを、アーレントは著書の言外に含ませています。

現代でも、なくならない様々なヘイトの問題があります。

先日のアメリカでのアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイド氏殺害事件を見てもわかるように、人種差別問題は根強くあり続けます。

ネット上の誹謗、中傷、炎上問題もなくなりません。

しかし、同時に人々の意識は変わりつつあります。

良心が育とうとしています。

世界中で様々な変化が起きています。

 

ヘイトはなぜ生まれ、大虐殺にまで至ったのか?、

人々の怒りや不満の矛先がある特定の人々に向かい、やがて大きな過ちへとつながった悲しい過去を繰り返さないために、私たちが気をつけることは何なのか?

アーレントの『全体主義の起源』『エルサレムのアイヒマン』から、読み解いていきたいと思います。

(このエルサレムの裁判の実際の映像は、2013年に公開された映画の中にも出てきます)

ハンナ・アーレントの生い立ち

ハンナ・アーレントはドイツのナチズム、ロシアのスターリニズムの全体主義がどのように形成されたかを考察した「全体主義の起源」で一躍有名になった政治哲学者です。

(以下、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』(100分de名著)金澤大学法学類教授 仲正昌樹 NHK出版 を参照しています。)

ハンナ・アーレントはドイツのユダヤ系中産階級家庭に生まれました。

14歳で哲学を志し、大学を渡り歩きながら学び、ハイデガー、フッサール、ヤスパースといったドイツの気鋭の哲学者に師事し、22歳の若さで博士号を取得します。

1933年にヒトラーが政権を掌握すると、アーレントは反体制活動に協力したとして逮捕され、出獄するとすぐに母と共にドイツを出国し、パリへと逃れ、そこで活動家のブリュッヒャーと再婚。

1939年に第二次世界大戦が勃発します。

アーレントと夫は「敵国人」とされ、別々の収容所に入れられます。

ナチスドイツ軍の侵攻でパリが陥落し、パリが混乱に陥ったすきにアーレントは収容所を脱走し、夫と再会すると、二人はアメリカに亡命します。

アーレントは、身をもってユダヤ人迫害を体験したのでした。

アーレントと全体主義

 

その後、ナチスが行っていた反ユダヤ主義政策の内容が明らかにされると、世界中に衝撃が走ります。

多くの同胞が虐殺されたことが、アーレントのその後の学問的探求の原点となりました。

アーレントはまず「全体主義」についての研究を始めました。

「全体主義」は、第二次世界大戦中からドイツのナチズム、ソ連のスターリン主義などを指し、当時は漠然としたネガティブなイメージがある言葉でした。

全体主義はいかにして起こり、なぜ誰にも止められなかったのか。

この現象を歴史的考察によって突き止めようとしたのが、アーレントの「全体主義の起源」です。

第3巻からなる『全体主義の起源』を出版したアーレントは政治哲学者として一躍脚光を浴びます。

 

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