添加物の情報開示は不十分? 消費者が知っておくべき真実
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食品添加物が健康を壊す
近年、健康志向の高まりとともに、食品添加物に対する関心が高まっています。しかし、コンビニやスーパーに並ぶ食品には、数多くの添加物が使われているのが現状です。多くの消費者は、添加物に「体に良くない」という漠然としたイメージを持っているものの、実際には、どのような添加物が、どれくらいの量使われているのか、その危険性について十分に理解できていません。
添加物に対する認識の乖離
多くの人が「添加物=体に悪い」というイメージを抱いている一方で、日常生活で口にする食品の多くには添加物が使用されています。特に、加工食品は添加物の宝庫と言っても過言ではありません。例えば、お弁当や総菜、スナック菓子、清涼飲料水など、私たちの食生活に欠かせない食品の多くに、様々な添加物が使われています。
- 多くの消費者は、これらの食品に含まれる添加物の種類や量、その危険性について、正確な知識を持っているとは言えません。商品の裏面に記載された原材料名を確認しても、カタカナや専門用語が並び、それが一体どのようなものなのか理解できないことが多いのではないでしょうか。
- 「有名メーカーだから安全だろう」「みんなが食べているから大丈夫だろう」という安易な考えで、添加物について深く考えることを避けている人も少なくないでしょう。また、「多少の添加物は仕方ない」と諦めてしまっている人もいるかもしれません。
添加物の専門家からの警鐘
このような現状に対して、添加物業界の内情を知る専門家は、警鐘を鳴らしています。かつて食品添加物の商社でトップセールスマンとして活躍した阿部司氏は、著書の中で、添加物の情報が一般消費者に公開されているようで公開されていない状態だと指摘しています。
阿部氏によると、添加物業界は、消費者が添加物について詳しく知らないことを利用し、大量の添加物を食品に使用しているとのことです。また、添加物の表示についても、消費者に誤解を与えるような表示がされている場合もあると指摘しています。
消費者が添加物について、もっと深く知る必要性を訴えているのです。
添加物の多い食品の代表例・明太子の実態
添加物が特に多く使われている食品の代表例として、明太子、漬物、練り物・ハム・ソーセージなどが挙げられます。これらの食品には、見た目や味、保存性を高めるために、様々な添加物が使用されています。
ここでは、特に明太子を例にとり、添加物の使用実態を見ていきましょう。
明太子の原料となるタラコは、本来、硬くて色の良いものが高級品とされています。しかし、柔らかくて色の悪い低級品のタラコでも、添加物の液に一晩漬けるだけで、たちまち透き通って赤ちゃんのようなつやつや肌に生まれ変わります。また、身も締まり、硬いタラコになるのです。
この工程には、着色料、発色剤、保存料、調味料など、様々な添加物が使われています。添加物を販売する商社は、これらの添加物をブレンドし、着色用、身を引き締める用、品質改良用など、用途別に販売しています。製造者は、「目的」だけを求めて、内容をよく知らないままに、その添加物を使用している場合もあるのです。
一般的な明太子を作るために使用される添加物の例を挙げると、以下のようになります。
- 合成着色料
- ポリリン酸ナトリウム
- アスコルビン酸ナトリウム
- ニコチン酸アミド
- 亜硝酸ナトリウム
- ソルビット
- リンゴ酸ナトリウム
- ミョウバン
- 乳酸カルシウム
- 酢酸ナトリウム
- GDL(グルコノデルタラクトン)
- グリチルリチン
- ステビオサイド
- グルタミン酸ナトリウム
- 5’-リボヌクレオチドナトリウム
- タンパク質化合物
- アミノ酸液
- ソルビトール
- 発酵調味料
これだけの添加物が、たった一つの食品に使われているのです。私たちの想像をはるかに超える量でしょう。特に、化学調味料の量は、明太子以上に多いものはないと言われるほどです。明太子に使われる化学調味料の量は、総重量の2~3%ほどにもなります。
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多くの人が「おいしい」と喜んで食べるタラコや明太子は、実は化学調味料の味が大部分を占めているのです。私たちは、添加物の味を食品の味だと思い込み、「おいしい」と喜んでいるのです。
ちなみに、手作りの明太子は、自然海塩、純米みりん、純米酒、丸大豆しょうゆ、昆布だし、かつおだし、水あめ、唐辛子などの自然な材料だけで作ることができます。昔の明太子は、これらの材料を使用して作られていました。
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添加物の安全性に関する問題点
添加物の毒性や発がん性のテストは、ネズミなどの動物を使って繰り返し行われます。例えば、「ネズミにAという添加物を100グラム使ったら死んでしまった。では、人間に使う場合は100分の1として、1グラムまでにしておこう」というように、動物実験の結果をもとに、人間への使用量が決められています。
- 人体実験は倫理的にできないため、動物実験の結果が、そのまま人間に当てはまるとは限りません。また、動物の種類や個体差によって、添加物の影響は異なる場合があります。
- 複数の添加物を同時に摂取した場合の複合的な影響については、十分な研究がなされていません。厚生労働省は、個々の添加物の毒性試験を行い、安全性を確認していますが、複数の添加物が組み合わさった場合の相互作用については、まだ不明な点が多いのです。
- 単品では安全な添加物でも、複数同時に摂取すると、予期せぬ健康影響が出る可能性が否定できないということです。私たちは、添加物の複合摂取という、誰にもわからないリスクを背負いながら、食品を食べているのが現状です。
「無着色」表示の落とし穴
- 「綺麗な色の明太子が危険ならば、無着色明太子を食べればいいではないか」と思う人もいるかもしれません。無着色明太子は、合成着色料が入っていないため、健康に良いイメージがあります。また、通常の明太子よりも少し高い値段で販売されていることも、そのイメージを助長しています。
- 無着色明太子の裏面の表示を見てみると、合成着色料は入っていませんが、それ以外の添加物は、通常の明太子とほとんど同じものが使われていることがわかります。
- 無着色明太子は、合成着色料だけが入っていないだけで、他の添加物は通常のものと変わらないのです。私たちは、「無着色」という表示に安心感を抱きがちですが、それはメーカーの戦略であり、無着色明太子だからといって、必ずしも健康に良いとは限りません。
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この背景には、スーパーや生協から「着色料を使っていない明太子が欲しい」という要望があり、メーカーがそれに応えて開発したという経緯があります。つまり、消費者のニーズに応えた商品ではあるものの、本質的な問題解決には至っていないのです。
消費者ができること・賢い選択を
ここまで見てきたように、食品添加物には、多くの問題点があります。しかし、私たちがこれらの問題に無関心でいれば、状況は何も変わりません。消費者が、添加物の問題に気づき、賢い選択をすることが、状況を改善する第一歩となります。
まずは、添加物に関する正しい知識を身につけることが大切です。添加物の種類や用途、安全性について学び、食品を選ぶ際に、その知識を活かしましょう。
次に、できる限り、自分で調理した食事を摂るように心がけましょう。外食や加工食品を頻繁に利用している人は、少しずつでも自炊の割合を増やしていくようにしましょう。
加工食品を選ぶ場合は、裏面表示をよく確認し、添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。特に、添加物の種類が多い食品は、できる限り避けるようにしましょう。
また、「無添加」や「無着色」といった表示に惑わされないようにしましょう。これらの表示は、必ずしも「安全」を意味するわけではありません。表示の裏にある、企業の意図を見抜くことが大切です。
そして、政府や企業に対して、添加物に関する情報開示を求めましょう。添加物の安全性に関する情報を、より詳細に開示するように働きかけましょう。また、複合摂取による影響についての研究を促進するように求めましょう。
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私たち消費者が、添加物の問題に真剣に向き合い、賢い選択をすることで、食品業界も変わらざるを得なくなります。健康な食生活を送るために、添加物の問題に積極的に関わっていきましょう。