Views: 829
初島からたどる伊豆大権現のルーツ
前回の記事(熱海・龍神紀行~龍神と共に息づく街~⑤)の『走湯山秘訣』に登場する初木姫をお祀りする、初木神社を目指しました。
熱海港から定期船に乗ります。
熱海には海底遺跡があることが知られています。船の上から海を眺めていると、まだ見ぬ海底遺跡が気になって仕方ありません。スキューバーダイビングをされる方は、ぜひご覧になってください。
(船上から見た熱海)
この一帯は火山活動が活発であったため、伊豆山神社の山麓の摂社、末社、門前町の一部が海底に沈んでいます。また伊豆山神社は海から来ており、祭壇へと続く坂と階段がありましたが、これも海底に沈みました。
熱海や伊豆山一帯の資料が現存していない理由は、豊臣秀吉による小田原攻めにより、北条家の味方をした伊豆大権現は丸焼きにされ、大切な資料等が全焼してしまったためだそうです。
初木神社をはじめとする島の古文書や家系図などの主要な文書は、伊豆山神社にまとめて奉納され管理されていました。そのため島の古い記録も同様に失われました。
古代では富士山神や箱根神も伊豆大神とされており、いかに伊豆大神の力が広範囲に影響を与えていたかがわかります。
強運の神とよばれる所以でしょうか。
『三宅記』に見る初島の名の由来
伊豆半島の沖合、熱海市の南東10kmに浮かぶ初島は周囲4kmの小さな島で、人口は250人。熱海港からは船で30分ほどで到着。
初島は2万年前に海底が隆起してできたと言われ、本土と近く渡りやすかったため、古くから人が居住していた痕跡があります。
縄文時代の土器や石器も見つかり、縄文遺跡は7つも見つかりました。
手軽に訪れることができる離島として人気があり、毎年25万人~30万人前後の人がこの小さな島を訪れます。
(初島港)
寺社の由緒を記した寺社縁起の一つとされる『※三宅記』には、旧伊豆国地方の神々についての記述が残されています。(※三宅記の原本は鎌倉時代末期に完成したとされます。)
三宅記によると、天竺(インド)で生まれた王子(※三嶋神)が無実の罪に問われて追放され、支那、高麗と渡り、第八代孝安天皇元年に日本に到着します。そして富士山頂で出会った神に安住の地を求めると、富士山頂南部の地を与えられました。
この地は狭く、「島焼き」(造島)を行うことにします。第八代孝安天皇21年に、多くの龍神、雷神とともに島焼きを行い、7日7夜で10島を生み出しました。その島々に自分の后を置き、各后は子を産みました。
この10島のうち最初に生み出した“初めての造島”が、初島の由来となっています。
※三嶋神は、三宅島の富賀(とが)神社にお祀りされている神様です。静岡県の三嶋大社は、この富賀神社より分祀されました。
初島の”ここは訪れ隊!”
①初木神社
ご祭神
・大津見命(おおつみのみこと)
・豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
・初木姫命(はつきひめのみこと)
初木姫命の外にもお二柱の神様がお祀りされています。大津見命(おおつみのみこと)は、古事記では大山津見神、日本書紀では大山祇神と表記され、三島神社の多くで主祭神として祀られている神様です。
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)は海神(わたつみ)の娘で、神武天皇の祖母にあたります。数多くの神社にお祀りされている神様です。
また初木神社の神殿の下には、古代の祈りの場である磐座(いわくら)の遺跡が眠っており、海上・交通安全、水難除け、良縁・縁結びのご利益があるとされています。
初木神社については後ほど説明します。
②竜神宮
初木神社から徒歩でほど近いところに、竜神宮があります。
海の中から現れた霊剣が祀られていたとされており、大漁祈願の神として今も島民の信仰を集めています。
その昔、不漁が続き漁師が嘆き明かしていると、海の中から剣が現れました。それ以来、島には豊漁の日々が続いたという言い伝えがあります。
大漁祈願するため、毎年4月3日には竜神宮のお祭りが行われ、海で取れた魚をお供えします。島民はは毎年この日は漁を休み、霊剣に感謝を捧げるために、大漁鉢巻を巻いて桜の下で酒を飲み交わすならわしが続いています。
両スポット共に、船を降りて徒歩ですぐの場所にありますので、ぜひこちらの二カ所をご参拝下さい。小さな離島にあるにも関わらず、太古の歴史を感じることができる場所です。
初木神社ー愛に包まれる光の聖地
『走湯山秘訣』によると、青々とした海底から、かがやく玉の御輿にのり現れた巫女初木は初島から水牛に乗り、月ごとに久地良山へおもむいては山をめぐり、初島を眺めていました。
そして乳母となり日精・月精という二人の子供を育て、やがて二人は伊豆大権現の祖先となりました。
初木姫がいたからこそ今の伊豆大権現(伊豆山神社)があると言えるのではないでしょうか。
この初木姫が祀られている初木神社のパワーはこれまた格別です。優しくて包容力があり、お参りの後に幸せな気分が続きます。
伊豆山神社をお参りされる際には、伊豆大権現の祖先を育てた初木姫をお祀りする初木神社まで足をお運びください。
そして初木神社の、小さなお社からあふれるほどのエネルギーをぜひ感じてみてください。
本気で異性にモテたい方はぜひ!
(詳しい内容は10月7日創刊のメルマガでお伝えします💛)
『走湯山秘訣』
初木姫が神界へと上るくだりが『走湯山秘訣』の終わりにあります。
(走り湯から見た初島)
「降臨巻」
(伊豆山神社公式HPより転載します。)
熱海・龍神紀行~龍神と共に息づく街シリーズは、この初木姫の言葉とともに終わります。
龍神と共に息づく街、熱海。
熱海は”温泉”だけではなく、龍脈というマグマのエネルギーを大いに感じて、その恩恵を受け取ることができる場所でした。
恩恵は目には見えませんが、おかげで心身に着いた汚れが落ちて、まっさらな元気な状態に戻り命の洗濯ができたように思います。
そして動くことの大切さ、よどませずに血や気を巡らせて生きることが運を運び繁栄につながることに気付きます。
人間も大地もこの大いなる脈動のエネルギーによって生かされていることを感じる旅となりました。
最後までご覧くださりありがとうございました。
訪れる皆様の明日がより良きものとなりますように。