奇岩から放たれる凄まじい霊力~素戔嗚神社

素戔嗚神社・災厄を祓い福を招く、荒川の守護神
東京都荒川区南千住に鎮座する素戔嗚神社は、都内屈指の広大な氏子区域を誇る古社です。その歴史は平安時代に遡り、山岳信仰の修験者によって開かれたという由緒正しい神社は、今もなお地域の人々から篤い信仰を集めています。災厄除けの神として知られる素盞雄大神と、商売繁盛の神である飛鳥大神の二柱を祀り、訪れる人々に安寧と繁栄をもたらすパワースポットとして、近年ますます注目を集めています。

悠久の歴史を刻む、素戔嗚神社の起源
素戔嗚神社の創建は、平安時代の延暦14年(795年)に遡ります。この地を開いたのは、修験道の開祖として知られる役小角(えんのおづぬ)の高弟である黒珍(こくちん)という人物でした。黒珍は、現在の素戔嗚神社の近くに庵を結び、修行に励んでいました。

ある日、黒珍は庵の東側に位置する小高い塚の上に、不思議な奇岩があることに気づきます。その奇岩に霊力を感じた黒珍は、そこを霊場と定め、日夜礼拝を捧げるようになりました。すると、延暦14年のある夜、塚の中の奇岩が光を放ち、二柱の神様が老人の姿となって現れたのです。

神々は黒珍に対し、「吾れは素盞雄大神、飛鳥大神なり。吾れを祀らば疫病を祓い福を増し、永く此の郷土を栄えしめん」と告げました。この神託を受けた黒珍は、すぐに祠を建て、二柱の神様を丁重にお祀りしました。これが、素戔嗚神社の創建の起源とされています。
二柱の神が織りなす、御利益の数々
素戔嗚神社に祀られているのは、素盞雄大神と飛鳥大神の二柱の神様です。それぞれの神様は、異なる御利益をもたらすとされており、訪れる人々の様々な願いに応えてくれます。

素盞雄大神・災厄を祓い清める、荒ぶる神
素盞雄大神(すさのおのおおかみ)は、日本神話に登場する勇猛果敢な神様です。特に、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した英雄として知られており、その際に大蛇の体内から現れた天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)は、後に三種の神器の一つである草薙の剣(くさなぎのつるぎ)となりました。

「スサ」という言葉には、「荒ぶる」という意味と「清浄」という意味があり、素盞雄大神は、その名の通り、荒々しい力で罪や穢れ、災い、厄といったあらゆる悪しきものを祓い清める神様として崇められています。また、牛頭天王(ごずてんのう)という別名も持ち、このことから素戔嗚神社は「お天王さま」という通称で親しまれています。
素盞雄大神の御利益は、主に以下のものが挙げられます。
- 災厄除け・あらゆる災いから身を守り、災厄を祓い清めます。
- 厄除け・ 厄年における災厄を払い、無事に過ごせるよう守護します。
- 病気平癒・ 病気を克服し、健康な生活を送れるよう祈願します。
- 開運招福・ 運を開き、幸福を招き寄せます。
- 飛鳥大神・商売繁盛をもたらす、福の神
飛鳥大神(あすかのおおかみ)は、大国主神(おおくにぬしのかみ)の御子神であり、事代主神(ことしろぬしのかみ)または一言主神(ひとことぬしのかみ)とも呼ばれます。善悪を一言で判断し得る明智を持つ神様として知られており、人々の言葉に耳を傾け、願いを叶えてくれると信じられています。
後世には、福の神としての性格が強まり、商工業繁栄や商売繁盛の神様である「えびす様」として崇敬されるようになりました。
飛鳥大神の御利益は、主に以下のものが挙げられます。
- 商売繁盛・ 事業の成功と繁栄をもたらします。家内安全: 家庭の平和と安全を守ります。
- 五穀豊穣・農作物の豊作を祈願します。
- 開運招福 ・運を開き、幸福を招き寄せます。
- 交通安全・ 旅行や交通の安全を守ります。
強力な霊気を放つ、境内のパワースポット
素戔嗚神社は、境内全体が強力な霊気に満ち溢れたパワースポットとして知られています。特に、以下の場所は、訪れた際にはぜひ立ち寄っていただきたい場所です。
瑞光石・神々が降臨した奇岩
瑞光石(ずいこうせき)は、素盞雄大神と飛鳥大神が老人の姿で降臨したとされる奇岩です。社伝によれば、この岩から光が放たれ、神々が現れたとされています。瑞光石は、本殿の裏手にひっそりと佇んでおり、触れると神様のパワーを感じられると言われています。

富士塚・都心で感じる富士山の霊気
素戔嗚神社の境内には、富士塚(ふじづか)と呼ばれる小高い丘があります。この富士塚は、富士山に見立てて造られたもので、頂上には浅間神社(あさまじんじゃ)が祀られています。富士塚に登ると、都心にいながらにして、まるで本物の富士山にいるかのような清らかな霊気を感じることができます。

特に、富士山に行きたいと思いながらも、なかなか機会に恵まれないという方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。富士塚の清らかな空気は、心身を癒し、新たな活力を与えてくれるでしょう。
蘇民将来の伝説と茅の輪くぐり
素戔嗚神社には、蘇民将来(そみんしょうらい)という人物にまつわる伝説が伝えられています。
昔々、素戔嗚尊が旅の途中で、蘇民将来と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に出会いました。裕福な弟の巨旦将来は、尊の身なりを見て宿を貸すことを拒みましたが、貧しい兄の蘇民将来は、快く尊を迎え入れ、粟の飯でもてなしました。
数年後、尊は再び兄弟の家を訪れ、蘇民将来に感謝を伝えました。そして、「もし疫病が流行したときは、茅(かや)で作った輪を腰につけなさい。そうすれば疫病から逃れることができるだろう」と教えました。

その後、村に疫病が流行しましたが、蘇民将来の家族だけは、茅の輪を腰につけていたおかげで無事でした。以来、人々は疫病が流行すると、「蘇民将来子孫也(そみんしょうらいしそなり)」と唱え、茅の輪を腰につけて疫病から逃れるようになったと言われています。
この伝説にちなみ、素戔嗚神社では、毎年夏に茅の輪くぐりという神事が行われます。茅の輪をくぐることで、半年間の罪や穢れを祓い、無病息災を祈願することができます。

アクセス
素戔嗚神社へのアクセスは、以下の通りです。
電車:
JR常磐線・東京メトロ日比谷線・つくばエクスプレス「南千住駅」より徒歩約8分
都電荒川線:
「三ノ輪橋駅」より徒歩約15分
バス:
都営バス「南千住六丁目」バス停より徒歩約3分
まとめ
素戔嗚神社は、災厄除けと商売繁盛の神様を祀る、歴史と霊気に満ちた神社です。境内には、神々が降臨したとされる瑞光石や、富士山の霊気を感じられる富士塚など、数々のパワースポットが存在します。

日々の喧騒から離れ、静寂の中で心身を癒したいという方や、何か困難に直面している方、あるいは、単に運気を上げたいという方は、ぜひ一度、素戔嗚神社を訪れてみてください。穏やかで健やかな気が流れる境内を散策し、神様のパワーを感じることで、きっと心が安らぎ、新たな活力が湧いてくることでしょう。
素戔嗚神社は、あなたにとって、心強い味方となってくれるはずです。ぜひ、足を運んで、そのご利益を体感してみてください。

詳細情報
社格・ 村社
例祭日・5月5日
主な祭典
元旦祭(1月1日)
節分祭(2月3日)
例大祭(5月5日)
夏越の大祓(6月30日)
新嘗祭(11月23日)
年越の大祓(12月31日)
授与品・お守り、お札、絵馬など
その他・ 御朱印あり
素戔嗚神社は、都心にありながらも、静かで落ち着いた雰囲気の神社です。ぜひ、時間をかけてゆっくりと境内を散策し、神様のパワーを感じてみてください。きっと、あなたの心に、穏やかな光が灯ることでしょう。