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≪汝の薬は食事とせよ 古代ギリシャの医学の父 ヒポクラテス≫
野菜や果物を中心とした食生活は、今まではひとつの理想形と考えられていましたが、人間が健康になるのに最も適していることが、近年の研究によって明らかになりました。
テレビや広告では『乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、魚を食べましょう!』と、たえまなくおいしそうな料理の情報が流されています。
栄養に関する情報を見聞きした多くの人は『たんぱく質は肉や魚、卵から。カルシウムは牛乳やヨーグルトから。』と思っています。
では、そういった食事を普段からしているのに、なぜ急にガンがみつかったり、心臓病、糖尿病にかかる人、高血圧の人の数が年々増え続けているのでしょう?
フォークスオーバーナイブスは、この問題を科学的に検証した二人の博士の物語です。
≪アメリカ人の危険な健康状態≫
ここで、映画の舞台となっているアメリカにおける人々の健康状態について説明します。
成人の肥満率ランキング世界第24位のアメリカは人口の40%が肥満(BMIの数値が30kg/㎡以上の人です。)
さらに4歳児の5人に1人が肥満で、メキシコ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人の多くが肥満です。
今の若者は、親より短命となるアメリカ初の世代になるだろうと言われています。
軍事予算の5倍となる2.2兆円の医療費を支出。
1分に1人が心臓病で亡くなり、1日のガンによる死亡者数は1500人。年間100万人が亡くなっています。糖尿病はとくに若い世代に急速に増えています。
アメリカで生まれる3人に1人は糖尿病を発症。
全体としてかなり恐ろしい数字が並んでいます。
≪アメリカ人の食生活の変化≫
20世紀初頭、アメリカ人は年間55kgの肉を消費していましたが2007年には100kgまで増加します。加工砂糖も1913年には消費量が年間18kgだったのが、1997年には67kgまで増加。1909年乳製品消費量は、年間133kgだったのが、2006年には2倍となる274kgにまで増加しました。
つまり、1人当たりの消費量は、100年ほどの間に肉は2倍近く、砂糖は3.7倍、乳製品は2倍も多く消費するようになりました。
≪生化学研究に情熱をかけるキャンベル博士≫
この映画の物語の主役の1人であるキャンベル博士は1933年生まれで農場で育ちました。
キャンベル博士の家はバージニアで乳牛を育てていました。当時牛乳は完全食といわれ、政府推進のビデオでも、赤ちゃんの断乳後には、牛乳を与えるように推進されていました。
1950年初頭に、キャンベル博士はペンシルベニア州大学に入学し、その後国内随一の栄養科学部を誇るコーネル大学院に進学。食肉の栄養と生化学を研究。1900年初頭にはたんぱく質こそ、文明そのものであると言われていました。たんぱく質=肉という構図ができていたのです。(現在でもそうですが。)1950年初頭にはたんぱく質をとることが推奨されました。
当時世界には飢餓で苦しむ子供たちがたくさんおり、1960年頃、キャンベル博士はフィリピンで飢餓の子供たちにたんぱく質を供与していました。経費節減のため、植物性たんぱく質を使用しました。
活動は順調でしたが、キャンベル博士はある重要な出来事に遭遇します。
≪肝臓ガンと動物性たんぱく質の密接な関係≫
当時マルコス大統領のアドバイザーだった著名な医師ホセ・カイド博士が、『フィリピンの肝臓ガンがかなり深刻だ』とキャンベル博士に教えてくれました。さらに衝撃的なのが、肝臓ガンが10歳前後の子供たちの命を奪っているという発言でした。これだけでも信じられないことでしたが、医師が話してくれたことはよりショッキングな内容でした。すなわち、『肝臓ガンになる子供は、良質な動物性たんぱく質を含む食事がきちんと与えられている家庭の子供である』というのです。
当時フィリピンの富裕層では、よく動物性食品が食されていました。そして裕福な家庭の子供たちは、最もヘルシーだと思う食事(つまり肉がたくさん含まれたアメリカ人の食事に最も似ている食事)をしていました。裕福な家庭の子供たちはこの国の誰よりも多くの良質な動物性タンパク質をとっていました。それにもかかわらず、この子供たちこそが肝臓ガンになる子供たちでした。
キャンベル博士はインドの研究論文に出会います。『ネズミの肝臓とたんぱく質摂取』に関する研究でした。
マウスにアフラトキシン(発がん性物質)を与え、次に牛乳の主要たんぱく質であるカゼイン(動物性たんぱく質)を与える実験でした。
それはつまり、動物性たんぱく質がガンに及ぼす影響を調べる実験でした。
カゼイン20%の方のマウスはどれもが肝臓がんあるいは病変を起こし、わずか5%のほうは、ガンの兆候も病変もみられませんでした。
100対0の結果が出ます。
このインドの論文とキャンベル博士が発見した子供の動物性食物摂取による肝臓ガン増加の事実が、博士の使命を決定づけた瞬間でした。
つまり、動物性たんぱく質ががん細胞を増殖するという事実です。