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断食によって体内で何が起きているかが、近年になって科学的に説明され、その効果が実証されるようになりました。
それよりもずっと古くから断食は宗教的儀式として、あるいは精神修行としても行われており、今でも続けられています。
宗教と断食
イスラム教のラマダン(1か月間)には、3つほどの意味があるそうです。
- 欲望を抑えることを学ぶ。
- 食に感謝を捧げる。命の尊さを知る。
- 心身をリセットする。(胃腸を休め、心穏やかに過ごす。)
ユダヤ教には「カシュルート」と呼ばれる食事規程があり、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。「コーシャ」とはこの食事規定で「食べて良い食物」のことを意味します。
年 6 回の断食日が存在し、一切の飲食が禁じられています。断食日には、シャワーを浴びない、薬をとらない、歯を磨かないなどの定めもあります。
キリスト教の断食は、ユダヤ教の断食の習慣を受け継いでいます。
福音書には、「イエスは公生活の前に40日間荒野で断食した(荒野の誘惑)」との記述があり、洗礼者ヨハネやその弟子たちも断食していました。
西暦100年頃に書かれた『ディダケ』(十二使徒の教え)には、当時のユダヤ教徒やキリスト教徒が週二日の断食をしていたことが記されています。
東方正教会では、断食は「耐えるもの」ではなく、「自分の不節制を認識し、他人へ施すことで神により近づくための経験である」といいます。断食によって節約したお金は、寄付の一環として貧しい者に与えられます。
さまざまな宗教の戒律に断食が含まれているのは、修行の一環のように感ぜられます。
が、実際に長い断食を繰り返し行ってみると、人間にとって非常に有益であるがゆえに、さまざまな宗教の戒律に含まれていたのだと気づきます。
有益であることの一つが、断食によって適正な胃袋の大きさに戻ることで、性欲、物欲、金銭欲、名誉欲など様々な欲のバランスが整う効果です。
長期の断食を行うと、精神が非常に落ち着いてきます。余計なことが考えられなくなり、穏やかな精神状態が続きます。
ストレスが消えていき、他人と自分を比較しなくなり、自然体でいられるようになります。
頭脳が明晰となり、インスピレーションが湧きます。
そして”すべては自分に起因する”ということに気づきます。
断食で得られる効果
断食によって、前回までの記事でご紹介した効果の他にも、以下のようなものがあります。
- 血流が改善し、代謝が上がり、肥満が解消されていく。
- 血流が改善し、肩こりが改善される。
- 歯周病が改善する。
- PMSなど婦人科系の悩みが解消される
- 胃腸を休めることで、慢性的な疲労が解消される
- 消化にエネルギーが使われなくなり、修復にエネルギーを使うことができ、美肌、美髪になる。
- 精神が落ち着く。イライラが解消される。
- アレルギー症状が改善する。
- 頭脳が明晰になる。
- 視力が良くなる。
- 集中力が増す。
味覚の強力なリセット効果
食欲が強い人は、味が濃い食べ物を好む傾向があります。
味覚は日々エスカレートし、ますます濃い味を好み、塩分の過剰により顔も体も常に浮腫みます。
断食後に普段の食事の塩分が過剰であることに気づき、また化学調味料の味を体が受け付けなくなります。
味覚のリセットができます。
食事量の強力なリセット効果
それと同時に食事量も、回復食のほんの少しの食事量で充分だと感ぜられるようになります。
万年ダイエットを繰り返している人も、たった1回の断食によって、食事量を減らせるようになります。
自分にとっての”足る”を知ることができる唯一の食事法が、断食です。
断食した人だけが、断食を終了した後の、ごく少量の食事で得られる満足感、幸福感を体験することができます。
断食には、他の食事法では得られない、味覚や食事量の強力なリセット効果もあるのです。
断食の種類
断食にも様々な種類がありますが、健康体で何を食べても太ってしまうという人には、1日以上の断食がおススメです。
体力に自信がないという人は、半日の断食からスタートすることをお勧めします。
半日断食は、夕食後16時間~18時間は食事をしないというものです。
夜7時に食事をしたら、次の日は午前11時以降に食事します。
つまり、朝食を抜くことで半日断食となります。
その他に断食道場などもあります。
足るを知るということ
「知足者富」は老子の言葉で、”足るを知る者は富む”という意味です。
満足することを知っている人は、生きている喜びを知ることであり、
自分の器に見合った喜びを知る者は、富を得るという意味です。
自分が持って生まれた天分や才能に気づくことで、活路を見出し、それに沿って生きていくことの素晴らしさを伝えています。
自分の足るを知るのに、断食はまさに絶好の機会となるでしょう。
己の足るを知る断食、一度体験してみてはいかがでしょうか?