神々が守る火山島ー伊豆大島ー①

神々が守る火山島ー伊豆大島ー
東京湾に浮かぶ伊豆諸島。その中でも最大を誇る伊豆大島は、東京都に属しながらも、本土とは異なる独自の生態系と文化を育んできた島です。
活火山である三原山を中心に、大自然が織りなす絶景、島民の信仰と歴史、そして豊富な海の幸と大地の恵みが、訪れる人々を魅了します。
この記事では、伊豆大島の魅力をさらに深く掘り下げ、その地理、歴史、文化、自然、そして神々との繋がりについて詳細に解説します。
1. 伊豆大島の地理的特徴・火山が創造した島
1.1 伊豆諸島の盟主・その広がりと地形
伊豆大島は、面積約90平方キロメートルを誇り、伊豆諸島を代表する島です。その地形は、中央に位置する活火山・三原山の活動によって大きく形成されました。島の形状はほぼ円形で、海岸線は変化に富み、断崖絶壁や砂浜海岸、岩礁地帯など、多様な景観を見せています。島の中央部は標高が高く、三原山を中心に起伏に富んだ地形が広がります。一方、海岸部には比較的平坦な土地が広がり、集落や農地が形成されています。

1.2 首都圏からのアクセス・島への扉を開く
伊豆大島は、東京から南へ約120km、神奈川県の江ノ島から約60km、伊豆半島東側からは約30kmに位置しています。首都圏からのアクセスは非常に便利で、気軽に訪れることができるリゾート地として人気を集めています。

高速ジェット船・東京(竹芝ふ頭)から東海汽船の高速ジェット船を利用すれば、約1時間45分で到着します。船内は快適で、美しい景色を眺めながらの船旅を楽しむことができます。

飛行機・調布飛行場から新中央航空の飛行機を利用すれば、わずか約25分で到着します。短時間で島に到着したい方にはおすすめです。

到着港・船は日によって、島の北側にある岡田港と南側にある元町港のどちらかに到着します。事前に確認しておくことをおすすめします。

品川ナンバー・東京都でありながら、島内を走る車のナンバープレートは品川ナンバーです。これも、伊豆大島が東京の一部であることを象徴しています。

1.3 気候・温暖な海洋性気候
伊豆大島は、温暖な海洋性気候に属しており、年間を通して比較的過ごしやすい気候です。夏は涼しく、冬は温暖で、降水量も多いため、緑豊かな自然が育まれています。
2. 伊豆大島の歴史と文化/
火山との共存、信仰の深さ
2.1 火山と共に生きる歴史・畏敬の念と防災の知恵
伊豆大島は、活火山である三原山と共に歩んできた歴史を持っています。約2万年前から現在に至るまで、100年から200年ごとに大規模な噴火が繰り返されてきたと考えられています。島民は、古くから三原山を畏敬の念を抱き、「御神火(ごじんか)」、火山を「御神火様」と呼び、敬ってきました。噴火の歴史は、島民に防災の知恵を授け、生活様式や文化に大きな影響を与えてきました。

2.2 1986年の噴火・全島民避難という試練
1986年には、三原山の大規模な噴火が発生し、全島民が島外へ避難するという未曾有の事態となりました。しかし、島民は協力し合い、困難を乗り越え、復興への道を歩み始めました。

2.3 三原神社の奇跡・信仰の証
1986年の噴火の際、山頂にある三原神社が見事に被災を免れたことは、大島の七不思議の一つとして語り継がれています。これは、島民の信仰の深さを象徴する出来事として、今も語り継がれています。

2.4 元町港フェリーターミナル・島への入口、防災拠点
元町港フェリーターミナルは、大島町の中心部に位置し、島の玄関口となっています。ターミナル内には、観光案内所や売店、飲食店などが充実しており、観光客にとって便利な施設です。また、万が一三原山が噴火した際の避難施設としても機能するよう設計されており、防災拠点としての役割も担っています。

3. 伊豆大島の自然・大地の息吹を感じる
3.1 世界三大流動性火山・三原山のダイナミズム

伊豆大島の中心部に位置する三原山は、世界三大流動性火山の一つとして知られています。海底からそびえる活火山であり、その噴火活動は、島の地形や生態系に大きな影響を与えてきました。山頂には直径約10平方キロメートルのカルデラがあり、その中では現在も火山活動が続いています。地質は主に玄武岩で構成されており、独特の景観を作り出しています。
3.2 日本ジオパーク認定・地球の息吹を体感する
その独特な地形と地質から、伊豆大島は2007年に日本の地質百選に選定され、さらに2010年には関東地方で初めて日本ジオパークに認定されました。ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」を組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所を指します。伊豆大島は、その火山活動の歴史や独特な生態系を通じて、地球のダイナミズムを体感できる場所として高く評価されています。

3.3 地層大切断面・大地の記憶を刻む縞模様
伊豆大島を代表する景観の一つに、「地層大切断面」があります。これは、約600メートル以上にわたって続く見事な縞模様の地層で、まるでバウムクーヘンのような美しい層を重ねています。この地層は、過去2万年間に繰り返された大噴火によって噴出した火山灰などが堆積してできたもので、約100回分の噴火の痕跡を見ることができます。地球の歴史を物語る貴重な地層として、多くの研究者や観光客が訪れます。

4. 伊豆大島の名産品・大地の恵み、海の幸
4.1 明日葉(あしたば)・生命力あふれる島野菜
伊豆大島は、明日葉(あしたば)の産地としても有名です。明日葉は、今日摘んでも明日には新しい葉が生えてくると言われるほど生命力が強く、豊富な栄養価を持つことで知られています。火山島である伊豆大島は、一年を通して温暖で雨が多いため、明日葉の栽培に最適な環境です。また、三原山の火山灰が混ざっている土壌は、水はけが良く、植物の育成に適しています。明日葉は、お茶や健康食品、料理など様々な形で利用され、島の名産品として親しまれています。

4.2 椿(つばき)・島の彩り、美の源
伊豆大島には、実に300万本もの椿が自生しています。1月後半から3月後半にかけては、島全体が椿の花で彩られ、毎年「椿まつり」が開催されます。椿の花は、その美しさだけでなく、種から採れる椿油も貴重な資源として利用されています。椿油は、髪や肌の保湿に優れており、美容オイルとして人気があります。

4.3 べっこう寿司・島ならではの味覚
伊豆大島の名物料理といえば、「べっこう寿司」です。これは、伊豆諸島の近海で獲れる新鮮な白身魚を、唐辛子醤油に漬け込んだピリ辛味の寿司です。名前の由来は、漬け込んだ白身魚が“べっこう色”に輝くことからきています。鯛などの白身魚やマグロ、カツオなどが使われ、青唐辛子のピリ辛醤油と新鮮な魚の甘みが絶妙なハーモニーを生み出します。島を訪れた際には、ぜひ味わってみてください。

5. 神々が守護する大島・信仰の灯火、自然への畏敬
5.1 泉津の切通し・自然が創り出した神秘的な空間
伊豆大島には、自然の力によって造られた美しい景観が数多く存在します。その一つが「泉津の切通し」です。これは、長い年月をかけて雨水などが浸食し、岩盤を削り出してできた道で、まるでトンネルのような空間が続いています。緑豊かな木々に囲まれ、神秘的な雰囲気が漂っています。

5.2 神社と信仰・自然崇拝の歴史、島民の心の拠り所
伊豆大島は、活火山である三原山を抱える島であり、昔から自然に対する畏敬の念が強く、多くの神社が建立されています。これらの神社は、島の安全と繁栄を祈願する人々の心の拠り所となっています。
- 三原神社・ 三原山山頂にある三原神社は、噴火の際に奇跡的に無傷だったことから、特に信仰を集めています。火の神様を祀っており、噴火鎮静の祈りが捧げられています。
- その他神社・ 島内各地には、それぞれの地域を守る様々な神社が点在しており、その歴史や文化に触れることができます。これらの神社は、島民の生活に深く根ざしており、祭りや行事などを通じて、地域社会の絆を深める役割を果たしています。
まとめ・伊豆大島、唯一無二の魅力
伊豆大島は、火山活動によって形作られた独特な地形、豊かな自然、そして人々の信仰が息づく魅力的な島です。
首都圏からのアクセスも良く、日帰りや週末旅行にも最適です。
大自然の中でリフレッシュしたり、島の歴史や文化に触れたり、美味しい名産品を味わったりと、様々な楽しみ方ができます。ぜひ一度、神々が守護する火山島、伊豆大島を訪れて、その唯一無二の魅力を体感してみてください。